相手の思いに共感し、考えると、<br />
中途半端なケアはできない。

vol.5

相手の思いに共感し、考えると、
中途半端なケアはできない。

喜楽苑 ショートステイ 介護職員

2017年1月入職

塚尾 真一(ツカオ シンイチ)

高校卒業(前職:販売員)

臨機応変なケアで、「心身の不安定期」を支えたい。

「できないことだけをお手伝いする」のが、ショートステイでの介護。

「ショートステイ」は、普段、自宅で介護を受けている高齢者が、短期的に施設に入居するサービスです。ショートステイの役割は、日頃、在宅介護にあたるご家族に小休止をとってもらうこと。喜楽苑のショートステイも、ご家族が外泊や入院される間利用されたり、特養に入居される前に体験的に利用されたりしています。喜楽苑にはショートステイが15床あり、入退苑者のない日もありますが、多いときで6〜7名の入退苑が重なる日もあります。喜楽苑では、ご利用者に合わせた部屋づくりをしているので、入退苑の時間帯が少しハードに。「この方は個室限定」「この方は多床室限定」など、一人ひとりの状態を見ながら、短時間で部屋の割り振りから考えていきます。
ショートステイご利用者には、「ご利用者のできないことだけ」をお手伝いしています。なぜなら、ショートステイのご利用者は、普段は在宅介護。普段できることまで手伝ってしまうと、自宅に戻られたときにご自分でできなくなるからです。そのため、ご利用者それぞれの身体介護にあたる注意点が書かれた『援助記録』をもとに介助にあたっています。例えば、『手引き歩行なら歩行は可能』『排泄時のズボンの上げ下げのみ介助が必要』など事細かく書かれているので、それを確認しながら、毎日介助にあたっています。

状態は刻一刻と変化する。だから、小さな気づきも記録する。

ショートステイを利用されるのは、ご本人も介護者であるご家族も、心身ともに大変な状態の時期。体は動かせるけど、転倒リスクの高い方、夜中寝付けない方など、状態が不安定な人が多くいらっしゃいます。前回利用されたときは歩行ができていたが今回は車椅子、というように、状態が変わっているケースがよくあり、状況をみながら随時援助情報も更新しています。その際も、変化にどれだけ気付けるか、どれだけ記録に残せるかに気を配っています。できるだけ自宅で介護したいというご家族に、安心して利用いただけるように、状態にあわせて臨機応変な対応を心がけています。

自分も身内の介護ができるようになりたい。母の影響で、福祉の道へ。

喜楽苑に入職する前は、紳士服の販売員をしていました。介護職への転職を考えたのは、母の影響です。母は自身の転職の際に、当時のヘルパー1級(現:介護職員実務者研修)を取得し、グループホームに勤めながら、空いた時間も祖父母の介護にあたっていました。当時、母は50歳を過ぎていましたが、夜勤もしっかり勤めあげる母の姿から、介護という仕事へのやりがいを目の当たりにしたのです。
喜楽苑は、退職後に入学した専門学校の実習先でした。実習中から、職場の明るい雰囲気やご利用者に対する丁寧な言葉遣いや接遇が徹底され、気持ちのこもった対応が印象的でした。その実習中に部長に「一緒に働きませんか?」と声をかけられ、今に至ります。

ノーマライゼーションの考え方が、職員みんなに共有されている。

実践的な新人研修。異業種から転職した私も、安心でした。

きらくえんは、新人への研修がしっかりしています。おむつの当て方、食事介助の仕方など、身体介護は、現場ですぐに使えるくらいの実践的な学びで、しっかり身につきます。私は、全くの未経験で就職したので、この研修はありがたかったですね。受けたい外部研修も申請すれば、施設が研修費を負担してくれたりと、スキルの向上を施設をあげて推進しています。未経験だった私も今は、福祉用具の使い方を習得できたり、ご利用者にあわせた移乗方法を行えたりと技術面は身についたかなと思います。また、これまでの経験をもとに、新しいご利用者に対して「この方にはこういう介助をしたほうがいいな」と判断できるようになり、自分自身の成長を感じています。

経験を積むことで、自分の中に染み込んだ「ノーマライゼーション」という思い。

「ノーマライゼーション」とは、「どれだけ重い障害があっても、地域の中で一人の生活者として暮らしを築く」、「どんな状況にある人も、当たり前の生活を当たり前に」という考え方ですが、実は私自身、最初はあまりしっくりきませんでした。しかし、ご利用者へのケアや声かけの仕方など、他の職員と一緒にご利用者目線で対応していく経験を積むことで、自分の中に浸透させていくことができました。
介護の現場に必要とされているのは、つねにご利用者主体で考え、相手の思いを共感できる人だと思います。「これぐらいでいいか」と中途半端なケアをせずに、しっかりとご利用者それぞれに適したケアをしようと考えられる人と一緒にお仕事できるとうれしいです。私の今の目標は、リーダーや役職に就くこと。上司からも、後輩からも「塚尾さんだったら大丈夫」といわれる存在になれればと思っています。