とりくみ
2つ目の特養 いくの喜楽苑の開設
特養では日本初の全室準個室化・ユニット化
2つめのいくの喜楽苑は1992年に朝来郡(現在は朝来市)生野町で開設しました。かつて“佐渡の金山、生野の銀山”と言われ賑わった町ですが、1973年に廃鉱となり、過疎化・高齢化が進む人口約4,600人の町でした。現在は高齢化・過疎化が進み3,400人を下まわっています。(2021年4月末)
建設にあたって、4床室の喜楽苑で悩んでいた感染症の病気がすぐ4人に蔓延することや、深夜に同室の人の発する音や声に睡眠が妨げられることなどから、ハードからも人権を守りたいと思いました。まずできるだけ家庭的な空間をと、居住エリアを東町、西町、南町と3つに分散し、食堂やデイルームもそれぞれのエリアに1つずつ設置した、いわゆるユニット化と全室準個室化に踏み切りました。当時は完全個室化に理解が得られなかったため、2人、4人部屋をやや広くとり、カーテンの部分を木の引き戸で完全に仕切る、そのような準個室化がやっとでした。
厚生労働省は、2002年度から新しく開設する特養は個室・ユニット化で建設すると共に、ユニットごとに決まった職員で24時間365日のシフトを組むユニットケアを導入。その制度化に踏み切りましたが、当法人は10年早く原初の形とは言え、個室・ユニット化を実現したと言えます。
そして、個室化により自分一人でホッとできる空間を得て、入居者の自立への意欲が高まると共に、認知症の人たちも穏やかに過ごされるようになりました。
職員は、認知症の方々が落ち着き4、5人で廊下を歩きながらいつも歌っている歌が、かつて生野銀山で栄えていた頃の盆踊りの歌であることに気づき、開設1年後に伝承の盆踊りを復活させました。以来、毎年8月の一夜、いくの喜楽苑の庭にかつての町長(町村合併のため現在町長はいない)をはじめ600人余の町民の方々が集い、賑やかに盆踊りを行っています。認知症高齢者の歌からなくなっていた伝承の盆踊り大会が再生したのです。